マリアージュ

先日お客様から、「焼肉を食べに行ったんだけど、勧められたワインがどうも美味しいと思わなかったんだよね」と言われて、そのワインの写真を見せて頂きました。

私はとっさに「お肉はタレで食べられました？それとも何か違う調味料で食べられました？」と尋ねました。

お客様は「塩で食べた」と言われます。

焼肉＝タレがすべてではなく、ステーキのようにシンプルに岩塩、海水塩、天日塩、ワサビなどなど、色々な食べ方はあります。

結論から先に言いますと、ワインと料理の相性に決まりごとなどないと言ったほうがよく、最も重要なことはそれを食べ合わせる人の『好み』になります。

まさにマリアージュ（フランス語で結婚の意味）です。

ソムリエはお客様の味覚を把握して的確に美味しいワインを出せればいいのですが、好みは人それぞれ、感じ方も違います。

ましてや初対面では何も分かりません。

なるべく会話をして、いつもどのような食事をされて、どのようなアルコール飲料を飲まれて、どのような方と食事をされてといった５Ｗ１Ｈをさりげなく伺うようにしています。

その中から、その方にとって一番美味しいと思われるワインを出せたらいいなと思っています。

美味しいと思うのは味覚だけではなく、視覚、嗅覚も食べ物にとって重要です。

それとシャンパーニュやスパークリングワインなどは聴覚も加わります。

ぜひ泡モノを開けられた時は、泡の音を聴いて下さい。

一本一本、一杯一杯、個性があってとても楽しい時間が過ごせます。

自分にとっていかに美味しく楽しく、素晴らしい食事、時間でありたいかは、結局自分自身の心のマリアージュも必要ですね。

ソムリエは少しだけそれを助ける役目ではないでしょうか・・・。

今日も楽しい時間が過ごせますように。ボナペティ。