初めてのワイン～長野ワイン発掘の旅 Ｐａｒｔ１

皆さん初めまして。３月末に六本木にオープンした“The Suite”でソムリエをしております、木村と申します。よろしくお願い致します。

もう３０年以上も前の話しですが、私が初めて飲んだワインは、友人に旅行土産として頂いた国産の白ワインでした。
そのワインは果実味に富んだジューシーなもので、やや甘口の飲み易いスタイルでした。

今思い返してみると、恐らく“ナイアガラ葡萄”のワインだったと思います。
その時は、美味しい不味いというよりも、「ワインはこんな味なのか」という程度の感想しか浮かばなかったです。

その後、レストランで勤務することになり、フランスやイタリア、ドイツなどのヨーロッパのワインに出会います。
正直「ぶっ飛びました」。自分のワインに対する概念が、本当に大きく変わりました。
「今まで飲んでいたものは、何だったんだ！」。大きな衝撃と共に、心を揺さぶる感動がありました。
この違いは何だろうと追及する日々が続き、数年後に気が付けばソムリエとなっておりました。

私は長い間、長野県内にあるリゾートホテルで勤務をしており、雄大な自然の中、全国からお越しのお客様にワインを提供してまいりました。
ご宿泊の方にはフランス料理を提供するレストランで、フランスワインをメインにリストを用意しておりましたが、お客様からは「長野県産のワインは無いの？」という声が非常に多く、そこで美味しい長野県産ワイン発掘の行脚が始まります。
ホテルは松本市（旧南安曇郡）にあり、隣にはワインで有名な塩尻市、さらに“桔梗ヶ原”という産地があります。

1989年、国際的に権威あるワインコンクールに於いて、“桔梗ヶ原メルロー1985”が大金賞を獲得するという日本ワインにとって大きな転機がありました。
私が長野県に行った当時は、まだ“ナイアガラ種”や“コンコード種”を使用したお土産用のワインが多く、ワインメーカーも昔からの大手ばかりでしたが、それがこの受賞を契機に本格的なヨーロッパスタイルのワインを造る生産者が増えてきました。
大手から独立して小さなワイナリーを興したり、大手もヨーロッパ系のブドウ品種を使用したワインを出したりと、ワインのスタイルは大きく様変わりし、ワイナリーの数も増えました。
「長野のワインが目の前で変わって行く！」興奮を覚えながら、ワイン探しの行脚はまだまだ続きます。
（次回へ）