ロシア産シャンパン？

皆さん、こんにちは。六本木“The Suite”でソムリエをしている木村です。

今年の７月。1本の不思議なニュースがネットに上がりました。

その内容とは・・・、
“ロシア産だけが「シャンパン」。ロシアで、このような新法がプーチン大統領の署名で成立した。
本場フランス産を手掛ける仏ＬＶＭＨ（モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン）側は、ロシアへの供給を一時停止。“というものでした。

以前フランスでは、ブドウ樹の病気や害虫による大被害、長く続いた大不作によってワインの生産量が著しく低下することがありました。
この時に有名産地の名前を騙って低品質のワインを売るビジネスがはびこり、有名生産者の偽物ワインが大量に出回りました。
またアメリカでは、フランスのシャブリのような爽やかな辛口白ワインに、カリフォルニア・シャブリといった名前をつけて販売することもありました。
こちらは偽証というよりは、ワインのスタイルをイメージで伝えたかったのだと思います。
このようなことがあり、ブランドを守るために「原産地統制呼称制度」が作られます。
ごく簡単に申すと、ワインが生まれた産地（ブドウが収穫された産地）をワインの名前にするというものです。
もちろん厳しい条件をクリアし、品質の優れたワインに限ります。
そこで不思議に思うのが、シャンパーニュはフランスの産地。それが何故ロシア産？ということです。

「プーチン大統領が署名した新法は、ロシアのスパークリングワイン生産者に、ロシア語でシャンパンを意味する「シャンパンスコエ」（Shampanskoye）と表示できる。
一方で、シャンパーニュを含む外国のスパークリングワイン生産者は、ボトルにスパークリングワイン(sparkling wine）と表示しなければならくなった。」とのこと。
つまり、フランスのシャンパーニュのワインはロシア市場では「スパークリングワイン」という名前でないと販売できないというもの。
これはＥＵとフランスのロシア経済制裁に対抗するためやロシア産のスパークリングワイン市場の成長の為ではないかと言われています。

この日本でも「シャンパーニュ」の名称をめぐって、名前を変えた例があります。
１つは「シャンメリー」。子供向けの乾杯飲料が「ソフトシャンパン」という名で販売されましたが、シャンパンという名称の使用禁止を求められたそうです。

また、日本武道館公演を行うほどの人気ロックバンドの「Alexandros（アレクサンドロス）」は、以前「Champagne（シャンペイン）」という名前でしたが、こちらもフランス・シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会（C.I.V.C.）の日本支局から指摘を受けて、バンド名を変更しました。

このように、フランスの制度や世界貿易機関の協定では、原産地の名称を保護する動きは世界的な流れにもなっていますが、ロシアの今回の法律はそれに反するものです。
ロシアの問題は今後どうなっていくのか？興味を持って、追って行きたいと思います。