ワインの色　～その１～

皆さん、こんにちは。六本木“THE SUITE”でソムリエをしている木村です。

世界には本当に数多くのワインがあります。
ワインは赤、白、ロゼに大別されますが、その他の色で呼ばれるワインも存在します。
最近では「オレンジワイン」というものが流行りました。
こちらは通常の白ワインを造る際とプロセスが異なり、赤ワインのようにブドウの皮や種を長時間漬け込んで醸造することで、風味豊かな綺麗なオレンジ色のワインに仕上がります。
このオレンジワインという呼び名はイギリスのワイン商が作った造語で、2000年代に作られた新しい言葉です。

「黄ワイン」というフランスのスイスに近いジュラ地方で造られる「ヴァン・ジョーヌ」というワインもあります。
樽で熟成中のワインは目減りした分を補充するのですが、こちらは補充や澱引きを行わないために過度に酸化熟成するのと、ワイン表面に酵母の皮膜が形成されるので色は黄色みを帯び、シェリー酒の様な独特の風味が生まれます。
日本では馴染みが少ないですが、ボルドーやブルゴーニュと並んで称されるほどの知名度があります。

フランスの南西地方の「カオール」というワインは、非常に色が濃い赤ワインで別名「黒ワイン」とも呼ばれます。
マルベックという品種のブドウを用い、華やかな香りと濃厚でなめらかな味わい。
この品種はアルゼンチンでも広く栽培され、高品質なワインが生み出されています。

ポルトガル北部には「ヴィーニョ・ヴェルデ」というワインがあります。
ヴィーニョはワイン、ヴェルデは緑・熟していない・新鮮な・若々しいなどの意味があり、そこから「緑ワイン」と呼ばれています。
アルコール度数が低めで、舌の上でプチプチと感じる微発泡のフレッシュで軽快なワインです。

最後は、「灰色ワイン：ヴァン・グリ（Vin・Gris）」。
モロッコが有名です。
使用されるブドウが巨峰のような黒いブドウではなく、ナイアガラの様な赤紫色のブドウを用い、この日本でもピノ・グリ種や甲州種からのヴァン・グリが造られています。
ロゼワインよりも色調の淡い色をしています。

昨今のワイン醸造技術の向上と販売広告のプロモーションなどにより、今後も新しい“色”のワインが生み出される事と思います。どんなワインが誕生していくのか楽しみで仕方がありません。