六本木クラブチック
ソムリエ
平野 光志
こんにちは。六本木クラブチックの平野です。
映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」を観ました。女性初のエベレスト登頂から50周年を迎える2025年。阪本順治監督×吉永小百合による「北のカナリアたち」以来13年ぶりのタッグで送るおくる作品です。
その他の出演は、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、天海祐希、佐藤浩市など。
吉永小百合は124本目となる映画出演作で、登山家・田部井淳子をモデルに、人生のすべてを懸けて「てっぺん」に挑み続けた女性登山家の姿を描いたドラマです。
とても良質な映画だと思います。
さてこの作品の中にはテントの中で田部井淳子役(吉永小百合)、北山悦子役(天海祐希)がバーボンを飲むシーンがあります。
何のバーボンを飲んでいるかは分かりませんが、セリフで「やっぱり山にはバーボンだよね」と言っています。
バーボンの製造は主原料のトウモロコシを51%以上使って蒸留・熟成させる工程で、特に「新品のホワイトオーク新樽の内側を焦がして熟成させる」ことが特徴。蒸留はアルコール度数80%以下、熟成はアルコール度数62.5%以下、ボトリングは40%以上という法律で定められた基準を満たす必要があります。バーボンの種類は主に「ストレートバーボン」と「シングルバーボン」に分けられます。
様々な銘柄が存在し、初心者向けには「フォアローゼス」、「ジムビーム」など。
より、複雑で濃厚な風味を求める場合は、「ウッドフォードリザーブ」、「ワイルドターキー」などがおすすめです。
その他にも「アーリータイムズ」、「オールドクロウ」、「ジャックダニエル」、「I.W.ハーパー」などの定番や、こだわりの銘柄だと「ヘンリーマッケンナ」、「ノブクリーク」、「エライジャクレイグスモールバッチ」、「オールドフォレスター86プルーフ」、「ジェームズEペッパー1776」、「ベレンツェンアップルバーボン」など、他にも多数あります。
(ジャックダニエルは、バーボン製法の条件をすべて満たした上で、テネシーウイスキーを主張していますが分類的にはバーボンの一種)
元々バーボンは、アメリカ独立戦争終結後の1791年にジョージ・ワシントン政権が税収確保のために導入した「ウイスキー税」を嫌った人々が、当時はまだアメリカ領ではなかった西方のケンタッキー州やテネシー州などに移住し、その土地で収穫しやすいトウモロコシでウイスキー造りを始めたことが、バーボンウイスキーの誕生とされています。
さらに1860年代の南北戦争では敵味方に分かれ、敗れた南軍に属していたテネシーは壊滅的な被害を受け、北軍に属するケンタッキーに強烈な対抗意識が芽生えます。そして戦後、ケンタッキーの象徴となったバーボンに対抗するように、この地の蒸溜技術者たちの手で“テネシーならではのウイスキー”が育まれていきました。
このため、今でもテネシーの造り手たちは「バーボンではない、テネシーウイスキーだ」と強いこだわりを持つのだとか。
テントの中でバーボンもきっと良いですが、ジャックダニエルをクラブチックで美女と一緒に飲んでみるのもいいかも。(笑)