ロマネコンティはなぜ高い？

世界で最も有名で高価な『ロマネ・コンティ』は、ブルゴーニュ最高のワインであり、ワインをあまり知らない人でも、その名を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そして、同時にその値段を知った多くの人は、「なぜこんなに高いの！？」とびっくりされるのではないでしょうか？

世界最大のワイン検索サイト「ワインサーチャー」によると、昨年のロマネ・コンティ１本あたりの平均価格は２万ドル超え！
なぜここまで超高額になっているのか、今回はその理由についての解説をさせて頂きます。

ロマネ・コンティは、喉から手が出るほど欲しがる愛好家は多いのですが、生産量が非常に少ないというのが高額のひとつ目の理由。

フランス・ブルゴーニュ地方の黄金の丘という意味を持つコート・ドールにあるヴォーヌ・ロマネ村は、「神に愛された村」という異名を持つほど、ワイン生産に恵まれた土地であり、その中にあるロマネ・コンティの畑はわずか１.８ヘクタールしかありません。

５大シャトー筆頭のシャトー・ラフィットの100ヘクタールと比較してもその小ささは際立っていて、さらにその中でも十分な養分を吸い取ったブドウだけが残され、そうではないブドウは切り落とされてしまいます。

こうして、生命力が強く、エキスたっぷりのブドウのみを残し、年間わずか5000本から6000本しか生産されません。（先述のラフィットは年間25万本生産）

基本的にモノの価格は、需要と供給のバランスに左右されます。
ロマネ・コンティの場合、需要に対して供給が圧倒的に足りていないということです。

さらにその歴史は、2000年を超えており、まさにワイン界の伝説といっても過言ではない立場に君臨し、この素晴らしい世界一の畑を所有したい貴族の欲求に駆られた様々なトラブルでも知られています。

18世紀には、ロマネ・コンティの名称の元になったコンティ公が畑の所有の座を巡り、ポンパドール婦人と争った「ロマネ・コンティ戦争」が起こります。
そして、コンティ公に敗れたポンパドール婦人は、悔しさのあまりヴェルサイユ宮殿からブルゴーニュワインをすべて締め出したと言われています。

フランス革命時代には、ブルゴーニュ地方の貴族が所有するすべての畑は政府に没収されて、細分化されたり畑の名前が変更されたりしますが、ロマネ・コンティだけは多くの崇拝されていたため守られます。

「ロマネ・コンティはロマネ・コンティであることに価値がある」と言われ、世界中どこを探しても同じようなワインは造れないのです。

この言葉こそが、ロマネ・コンティたる所以であり、その魅力に取り憑かれた人々がその争奪戦を繰り広げる“至高のワイン”の証なのではないでしょうか。

このワインを飲まれる機会のある方は、味わいもさることながら、博物館に飾られるレベルの作品として、歴史を飲んでいると思って、そこにある奇跡と伝説を飲む感覚でぜひ召し上がってみて下さい！