寒い夜には

寒い冬の夜に楽しむワインは、やはり奥行きのある味わい深いものがお薦めです。
今回は、そんな冬の陽だまりのようなワインをご紹介させて頂きます。

数あるフランスワインの銘醸地のひとつで、ボルドー地方に次いで生産量の多い「コート・デュ・ローヌ」（「ローヌ」と略されることも多い）は、シラーのブドウを中心に個性的なワインが多く造られているワイン産地です。

パリから電車（ＴＧＶ）で南へ下ることわずか２時間ちょっと、名醸地ブルゴーニュの南に広がり、フランス地方料理がたっぷり味わえるビストロや、三ツ星レストランの中でもとびきり有名な「ポール・ボキューズ」があったりと、高級なものから、深く広く、厚みのある食文化が根付いています。

ワインに使用できる品種はフランス国内でも随一の多さを誇り、今回ご紹介する「シャトーヌフ・デュ・パプ」では、「グルナッシュ」、「シラー」、「ムールヴェードル」、「サンソー」、「クレレット」、「ヴァカレーズ」、「ブールブーラン」、「ルーサンヌ」、「クノワーズ」、「ミュスカルダン」、「ピクプール」、「ピカルダン」、「テレ・ノワール」の１３種ものブドウ品種を自由に選んでワインを生産することが認められている非常に稀有な産地と言えます。

生産者によって使用するブドウ品種の割合が違うためそれぞれの個性を楽しめるワインに仕上がりますが、一般のワインファンであれば、すべての品種は重要ではありません。
「１３品種をブレンドできるけど、おおむねグルナッシュやシラー」と思って頂ければ十分ですが、ソムリエやコンクールを目指す人は、この１３種を覚えるために呪文のように繰り返しましょう。（笑）

他にも、ローヌ地方は、北部と南部ごとの重要産地やそれぞれで造られるタイプ（赤、白、甘口）など、覚えることが多く、ソムリエ試験の最難関地域のひとつです！

さて、そんなローヌを代表する「シャトーヌフ・デュ・パプ」は、一流レストランのメニューには、ほぼ確実にオンリストされているので、何のワインを頼むべきか分からないという時に、とても重宝します。
格式があって、なおかつ重い料理から軽いものまで幅広く合わせられるので、特に肉料理に合わせれば、外れることがありません。

その中でも、世界的な評論家ロバート・パーカー氏が絶賛した「ドメーヌ・ド・クリスティア」が造る『シャトーヌフ・デュ・パプ・ヴィエイユ・ヴィーニュ』は、樹齢85年以上のグルナッシュ種を100％使用し、樽の影響を極力抑え、ブドウ本来の力が表現する凝縮感や複雑な香りを堪能できる記念碑的な作品と言えます。

飲みやすいのに、濃密でスパイシー、果実味がぎっしりと詰まった、濃い色のワインが生み出されます。
渋みは苦手だけど、味わいがしっかりとしていて、懐深く温かい気持ちになれるこのワインをぜひ大切な人と味わって下さい！